○猟銃安全指導委員制度運営要綱の制定について

平成22年3月5日

例規生環第186号本部長

各所属長

猟銃安全指導委員規則(平成21年国家公安委員会規則第12号)及び銃砲刀剣類所持等取締法施行細則(昭和53年公安委員会規則第6号)に定めるもののほか、銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)第28条の2に規定する猟銃安全指導委員制度の運営に関し必要な事項を定めるため、みだし要綱を別添のとおり制定し、平成22年3月5日から施行することとしたので、適正かつ効果的な運営に努められたい。

別添

猟銃安全指導委員制度運営要綱

第1 趣旨

この要綱は、猟銃安全指導委員規則(平成21年国家公安委員会規則第12号。以下「規則」という。)及び銃砲刀剣類所持等取締法施行細則(昭和53年公安委員会規則第6号)に定めるもののほか、銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号。以下「法」という。)第28条の2に規定する猟銃安全指導委員制度の運営に関し必要な事項を定めるものとする。

第2 委員の人数

法第28条の2第1項の猟銃安全指導委員(以下「委員」という。)の活動区域ごとの人数は、委員が当該活動区域内の猟銃所持者の状況を適切に把握でき、当該委員を中心としたコミュニティ作りに適した人数となるように、当該猟銃所持者のおおむね50人に1人とし、当該猟銃所持者が50人に満たない場合であっても、最低1人とする。

第3 委嘱の手続

1 署長は、規則第2条第1項の規定により委員の推薦をするときは、当該署の管轄区域内に居住し、当該管轄区域の事情に精通していると認められる者について、次に掲げる要件を満たしているか否かを慎重に判断した上で、その適任者を猟銃安全指導委員推薦書(様式1)により生活安全部長に推薦するものとする。

(1) 人格識見ともに優れた立派な者であるとして、地域住民からの信頼が厚く、地域からの協力を得やすい者であること。

(2) 猟銃の所持及び使用による危害を防止するための活動について、熱意及びおう盛な使命感を持つとともに、自主的かつ自発的な活動を可能にするだけの時間的な余裕を有すること。

(3) 委員は名誉職であり、その給与等に頼らなくとも十分に生活できるなど、経済的、社会的及び家庭的に見て、生活基盤が安定していること。

(4) 心身ともに健康であり、委員としての活動を行うことによって、精神的又は肉体的に支障を来すおそれがないこと。

2 前項の規定による推薦を受けた生活安全部長は、当該推薦に係る適任者を審査した上で、委嘱状(様式2)を交付して委嘱するものとする。

3 規則第2条第2項に規定する関係者への周知は、署等の掲示板への掲示、関係団体の機関誌への掲載等により行うものとする。

第4 委員の任期及び再任

1 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、第3に規定する委嘱の手続により、再任されることができる。

第5 活動の内容

法第28条の2第2項及び規則第4条に規定する活動は、次に掲げるとおりとする。

なお、常に次に掲げるすべての活動を行わなければならないわけではないことから、委員に対し、当該活動区域を管轄する署を通じて、具体的に必要とされる活動について適宜指導すること。

1 法第4条第1項第1号の規定による猟銃の所持の許可を受けた者に対し、当該猟銃の所持及び使用による危害を防止するために必要な助言を行うこと(法第28条の2第2項第1号)

(1) 概要

猟銃の所持及び使用による危害を防止するため、委員は、猟銃所持者に対し、射撃技能向上のための実地指導、猟銃所持者のマナー向上に資する啓発活動、猟銃及び実包の保管方法等に関する必要な指導等を行うこととしたものである。

(2) 具体例

ア 活動区域内の狩猟現場において、猟銃の取扱いその他事故防止に関する事項に関して同行指導を行うこと。

イ 猟銃所持者の自宅を訪問し、猟銃及び実包の保管方法に関して必要な指導を行うこと。

(3) 留意事項

ア 活動の実施に際しては、公安委員会が開催する講習会、猟銃所持者からの相談等の機会のみならず、委員が猟銃所持者の自宅に立ち寄るなど、委員から猟銃所持者に対して積極的な働き掛けを行い、必要な助言を行わせること。

イ 猟銃所持者の自宅への立ち寄りに際しては、猟銃所持者の氏名、住所等の個人情報が必要になるため、委員に対し、当該情報を必要に応じて提供すること。

2 職員が法第13条の規定により行う猟銃の検査に関し、銃身長の測定その他の技術的事項についての協力を行うこと(法第28条の2第2項第2号)

(1) 概要

法第13条の規定により、公安委員会は、銃砲刀剣類の構造及び機能について検査をし、猟銃所持者が法第10条の3に規定する構造及び機能の維持義務等を遵守しているか確認することができるとされているところ、猟銃の構造等の検査については、猟銃を熟知している者として委員に職員の補助を行わせることとしたものである。

(2) 具体例

一斉検査時において職員が行う猟銃の構造等の検査の際に、銃身長の測定等の補助を行うこと。

(3) 留意事項

ア 委員が所持許可を受けている種類以外の猟銃の取扱いをさせないようにすること。

イ 一斉検査時における猟銃等による暴発事故の防止に十分注意すること。

3 猟銃の所持及び使用による危害を防止するための民間団体の活動への協力を行うこと(法第28条の2第2項第3号)

(1) 概要

猟銃所持者が構成する様々な民間団体(狩猟、スポーツ等のための銃砲関係団体)の活動への協力を行うこととしたものである。

(2) 具体例

ア 狩猟者用のハンターマップの作成に協力すること。

イ 民間団体が行う各種講習会開催への協力を行うこと。

ウ 残弾処理のための射撃大会の開催等に協力すること。

(3) 留意事項

活動に当たっては、民間団体との緊密な連携を図ること。

4 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)第2条第5項に規定する狩猟期間内において、同法第11条第1項に規定する狩猟可能区域内の巡回を行うこと(規則第4条第1号)

(1) 概要

狩猟期間における猟銃事故等を防止するため、活動区域内の狩猟可能区域内の巡回を行うこととしたものである。

(2) 具体例

狩猟可能区域において、適正な銃猟が行われているか否かを点検するため、巡回すること。

(3) 留意事項

巡回に当たっては、誤認による事故等を防止するため、識別の容易な色彩の服装をするよう指導するとともに、民間団体との連携を図ること。

5 猟銃の所持及び使用による危害の防止に係る事項に関し、猟銃所持者の親族その他の関係者からの相談に応じ、これらの者に対し、助言及び指導その他の援助を行うこと(規則第4条第2号)

(1) 概要

猟銃の所持及び使用による危害の防止に係る事項に関し、猟銃所持者の親族等からの相談に応じ、助言、指導等を行うことによって、事前にその危害を予防することとしたものである。

(2) 具体例

親族から猟銃所持者の生活態度に関する相談を受理し、同人に対して適正な助言、指導等を行うこと。

(3) 留意事項

ア 助言、指導等は、あくまでも任意のものであることに留意すること。

イ 委員の氏名、連絡先等の周知徹底を図り、関係者が相談しやすい環境を整えること。

ウ 同居親族等から相談を受理した場合は、当該親族等に対して法第29条に規定する申出制度の教示を行うとともに、相談内容に応じて猟銃所持者本人にも直接助言を行わせるよう指導すること。

6 猟銃の所持及び使用による危害の防止に資する事項について広報及び啓発をすること(規則第4条第3号)

(1) 概要

猟銃の所持及び使用による危害の防止に資するため、猟銃所持者以外の住民等に広く広報啓発を行うこととしたものである。

(2) 具体例

ア 実際の事故及び盗難の事例を紹介したチラシを配布し、注意喚起するなど、地域の実情に応じた広報啓発を行うこと。

イ 関係団体の会合及び講習会に出席し、猟銃等の事件及び事故の防止のための啓もう活動を実施すること。

(3) 留意事項

実際の事故及び盗難の事例を紹介するに当たっては、事故者の情報等の個人情報の取扱いに留意させること。

第6 活動の方法

1 第5に掲げる活動は、委員が単独で、又は共同して行うものとする。

2 複数の委員が委嘱されている活動区域を管轄する署長は、活動の効果が当該活動区域全体に効果的に及ぶよう委員ごとに活動の時間、回数、担当地区、担当事項等を調整するものとする。

第7 遵守事項

生活安全部長は、委員に対し、規則第5条に規定する事項について、次に掲げるとおり遵守するよう十分指導するとともに、委員がこれらの事項に違反したと認められるときは、当該委員を解嘱すべき場合を除き、必要な指導を行わなければならない。

1 関係者の正当な権利及び自由を害することのないように留意すること(規則第5条第1項)

(1) 趣旨

委員は、警察官とは異なり、法令上特別な権限は認められておらず、あくまでも活動区域内の猟銃所持者その他の関係者の理解及び協力を得ながらその活動を行うこととなるため、他人の正当な権利及び自由を害することのないように留意することとしたものである。

(2) 解釈

関係者の正当な権利及び自由を害する行為には、刑罰法令に触れる行為はもとより、刑罰法令に触れなくとも憲法に保障された国民の権利及び自由を不当に侵害するような行為が含まれる。

(3) 関係者の正当な権利及び自由を害すると思われる行為の例

ア 相談において、相手が拒否したにもかかわらず、プライバシーにわたる事項について、無理に聞き出そうとすること。

イ 相談者の秘密を漏らすこと。

ウ 猟銃所持者の許可を得ずに自宅に上がり込み、銃の保管状況の確認又は質問をすること。

2 政党又は政治的目的のために、その地位を利用しないこと(規則第5条第2項)

(1) 趣旨

委員の活動が公務性を持つものであることから、政治的な中立性を確保し、信頼性を高めるために、政治的な地位利用を禁止したものである。

(2) 留意事項

ア 特別職に属する地方公務員たる委員には、地方公務員法(昭和25年法律第261号)に規定する政治的行為の制限の適用はないことから、本条の規定による指導を徹底し、いやしくも委員としての活動が選挙運動等に利用されることがないようにすること。

(3) 解釈

ア 「政党のため」とは、特定の政党を結成すること、特定の政党に加入すること、特定の政党を支持すること、特定の政党から脱退すること、特定の政党に反対することなどに資することを意味する。

イ 「政治的目的のため」とは、公職の選挙において特定の候補者を支持し、又はこれに反対すること、特定の内閣を支持し、又はこれに反対すること、特定の政治的団体を支持し、又はこれに反対すること、政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対することなどに資することを意味する。

ウ 「その地位を利用する」とは、委員たる名称及び委員としての活動に伴う影響力を使用し、又は行使することを意味する。

(4) 禁止される行為の例

ア 委員が猟銃所持者に対して行う活動において、特定の政党又は候補者への支持を呼び掛けること。

イ 委員としての活動において、猟銃の安全に関するチラシとともに、特定の政党の機関誌を配布すること。

第8 猟銃安全指導委員証

1 規則第6条第1項の猟銃安全指導委員証は、委嘱に際して委員に貸与し、委員がその身分を失ったときは、返納させなければならない。

2 猟銃安全指導委員証の「活動区域」の欄は、「愛媛県○○警察署管内」等と、委員の活動区域を表す名称を簡潔に記載するものとする。

3 生活安全部長は、委員に対し、猟銃安全指導委員証の携帯及び提示について十分指導しなければならない。

第9 腕章

1 規則第6条第2項の腕章は、委嘱に際して委員に貸与し、委員がその身分を失ったときは、返納させなければならない。

2 生活安全部長は、委員に対し、腕章の着用について十分指導しなければならない。

第10 研修

法第28条の2第6項及び規則第7条第1項に規定する研修は、別表の基準に従って行うものとする。

第11 解嘱の手続

1 署長は、委員が次のいずれかに該当すると認められるときは、直ちに、猟銃安全指導委員解嘱事由報告書(様式3)により生活安全部長に報告しなければならない。

(1) 第3第1項に掲げる要件を欠くに至ったとき。

(2) 法第28条の2第4項若しくは規則第5条若しくは第6条に規定する職務上の義務に違反し、又は正当な理由がなく、法第28条の2第2項若しくは規則第4条に規定する活動を行うことを怠ったとき。

なお、活動を行うことを怠ったか否かは、警察からの協力依頼に対し、特段の正当な理由がなくこれに応じないなど、具体の事情を考慮して、著しく活動が低調であるか否かにより判断する。

(3) 刑罰法令に触れる行為又は委員としてふさわしくない反社会的な若しくは反道徳的な行為をしたとき。

2 前項の規定による報告を受けた生活安全部長は、当該報告に係る事実の有無を調査した上で、解嘱の事由に該当すると認められるときは、弁明を聴く日の2週間前までに、猟銃安全指導委員解嘱通知書(様式4)により当該委員に通知しなければならない。

3 生活安全部長は、前項の規定による通知をし、弁明の機会を与えたにもかかわらず、当該委員が正当な理由がなく期日までに弁明を行わないときは、弁明を聴かないで解嘱することができる。

4 生活安全部長は、委員を解嘱したときは、解嘱状(様式5)を交付するものとする。ただし、当該解嘱をされた者の所在が不明のため交付することができないときは、この限りでない。

5 第3第3項の規定は、委員を解嘱したときについて準用する。

第12 辞職の承認

1 生活安全部長は、委員の辞職を承認したときは、辞職承認書(様式6)を交付するものとする。

2 第3第3項の規定は、委員の辞職を承認したときについて準用する。

別表

委員に対する研修の実施基準

1 研修の目的

研修は、委員の職務の適正かつ効果的な執行を確保することを目的とする。

2 研修計画

研修は、受講する委員の便宜に資するためにも、あらかじめ計画を策定し、これに基づいて行うものとする。

3 研修の方法

研修は、法令の条文、統計資料等を効果的に活用して行うものとする。

4 講師

研修の講師は、研修事項について十分な知識及び経験を有する者をもって充てるものとする。

5 研修項目等

研修項目、研修内容及び研修時間は、規則に基づき、おおむね次の表のとおりとする。

(1) 定期研修(3時間以上4時間以下)

研修項目

研修内容

研修時間

1 猟銃の所持許可の状況並びに猟銃の所持及び使用による危害の発生状況

(1) 猟銃の所持許可の状況

主として、県内における猟銃の所持許可の状況のほか、行政処分等の状況を理解させる。

(2) 猟銃による危害の発生状況

主として、県内における猟銃による事件及び事故の発生状況並びに猟銃の盗難事件の実態を理解させる。

1時間以上1時間30分以下

2 法第28条の2第2項に掲げる職務を遂行するために必要な知識及び技能

(1) 知識

猟銃所持者に対する必要な助言及び猟銃の検査に関しての技術的な協力、民間団体等への協力等の方法並びに留意事項を理解させる。

(2) 技能

実技指導、シミュレーション等により、職務の実務を理解させる。

2時間以上2時間30分以下

(2) 委嘱時研修(4時間以上6時間以下)

研修項目

研修内容

研修時間

1 定期研修と同じ。

同左

3時間以上4時間以下

2 法第28条の2第2項に掲げる職務を遂行するために必要な法令の知識

(1) 法の概要

法の目的及び規制の概要を理解させる。

(2) 委員の法的地位及び職務倫理

委員が特別職の地方公務員であること、その自発的な意思に基づく活動を期待されていることなどを理解させる。

(3) 委員の職務

委員の職務の概要を理解させる。

(4) 委員の守秘義務

委員の守秘義務に関する留意事項を理解させる。

(5) その他の関係法令

火薬類取締法(昭和25年法律第149号)、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律等の法令のうち、猟銃所持者に関係する違反、関係機関の役割等を理解させる。

1時間以上2時間以下

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猟銃安全指導委員制度運営要綱の制定について

平成22年3月5日 例規生環第186号

(平成22年3月5日施行)

体系情報
第4編 生活安全/第5章 生活環境/第2節 保安・風俗・営業
沿革情報
平成22年3月5日 例規生環第186号