○自転車運転者講習に関する事務取扱要領の制定について
令和5年6月29日
通達交企第178号本部長
各所属長
みだし規程が公安委員会において下記のとおり制定され、令和5年7月1日から施行されることとなったので、適正な運用に努められたい。
なお、自転車運転者講習に関する事務取扱要領の制定について(令和4年5月10日付け通達交企第126号。以下「旧要領」という。)は、廃止する。
記
1 旧要領からの変更点
道路交通法(昭和35年法律第105号)等が一部改正され、特定小型原動機付自転車に係る規定が新設されたことに伴い、所要の規定を整備した。
2 制定要領
別添のとおり。
別添
自転車運転者講習に関する事務取扱要領
第1 総則
1 目的
この要領は、自転車運転者講習について標準的な事務取扱要領を定め、その事務の適正かつ効果的な処理を図ることを目的とする。
2 用語の定義
この要領において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 受講命令 道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第108条の3の5第2項の規定による命令をいう。
(2) 講習 法第108条の2第1項第16号に規定する講習をいう。
(3) 危険行為 法第108条の3の5第2項に規定する自転車危険行為をいう。
(4) 自転車違反報告書 自転車運転者による違反行為に係る交通切符その他の報告書類をいう。
(5) 調査書類 自転車違反報告書(以下「違反報告書」という。)、自転車危険行為登録票(様式1。以下「危険行為登録票」という。)その他受講命令の手続に関する書類をいう。
(6) 被命令者 受講命令の対象となる者をいう。
(7) 取締り警察官 交通違反の取締り及び交通事故捜査に従事する警察官をいう。
(8) 命令した旨の通知 受講命令を決定した都道府県公安委員会(方面公安委員会を含む。以下「命令公安委員会」という。)から被命令者の住所地を管轄する都道府県公安委員会(方面公安委員会を含む。以下「住所地公安委員会」という。)に対して行う受講命令を決定した旨の通知をいう。
(9) 命令執行依頼 受講命令時における被命令者の住所地が命令公安委員会の管轄区域内にない場合において、命令公安委員会が、その者に対する受講命令書(道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)に定める自転車運転者講習受講命令書をいう。以下同じ。)の交付を住所地公安委員会に依頼して行うことをいう。
(10) 自転車運転者講習管理プログラム 講習の事務の適正を図るため、都道府県警察において登録する危険行為、受講命令及び受講命令後の結果に係る情報を一元管理するためのプログラムをいう。
(11) 危険行為登録 自転車運転者を危険行為により検挙した場合において、当該危険行為に関する情報を自転車運転者講習管理プログラムに登録することをいう。
(12) 受講命令登録 被命令者に対して受講命令をした場合において、当該受講命令に関する情報を自転車運転者講習管理プログラムに登録することをいう。
(13) 受講済(命令違反検挙)登録 被命令者が受講命令に基づき講習を受講した場合及び受講命令に従わなかったことにより、当該受講命令の違反を検挙した場合において、その処理結果に関する情報を自転車運転者講習管理プログラムに登録することをいう。
3 危険行為登録審査官
(1) 警察本部に危険行為登録審査官を置き、交通企画課安全教育・高齢者対策課長補佐の職にある者をもって充てる。
(2) 危険行為登録審査官は、危険行為登録票の審査及び自転車運転者講習管理プログラムの運用に係る事務を統括するものとする。
4 審査責任者
(1) 署並びに交通機動隊及び高速道路交通警察隊(以下「署等」という。)に審査責任者を置き、署にあっては交通担当課長の職にある者を、交通機動隊及び高速道路交通警察隊にあっては警部以上の階級にある警察官のうちからそれぞれの所属長が指名する者をもって充てる。
(2) 審査責任者は、署等における危険行為登録に係る書類の審査事務を統括するものとする。
5 危険行為登録票作成責任者
(1) 署等に危険行為登録票作成責任者を置き、警部補以上の階級にある交通担当の警察官のうちからそれぞれの所属長が指名する者をもって充てる。
(2) 危険行為登録票作成責任者は、署等における違反報告書の受理、危険行為登録票の作成等の事務を行うものとする。
第2 危険行為登録票の送付等
1 自転車運転者の違反行為の報告
(1) 取締り警察官は、自転車運転者の違反行為を検挙した場合は、速やかに違反報告書を作成し、危険行為登録票作成責任者に提出しなければならない。
(2) 取締り警察官は、(1)の違反行為が交通事故を伴うものであり、かつ、当該交通事故の捜査に相当の時間を要して、速やかに違反報告書を作成することができない場合は、その旨を審査責任者に速報するものとする。
2 署長等の措置
(1) 危険行為登録票の作成
ア 危険行為登録票作成責任者は、違反報告書に係る事案のうち、次に掲げるもの以外の事案について、危険行為登録票を作成するものとする。
(ア) 送致不相当と認められた事案
(イ) 明らかに危険行為が認められないもの(交通違反に係る事案については、罪名が危険行為に該当しないもの)
イ 危険行為登録票作成責任者は、違反報告書の受理状況等を自転車危険行為登録票作成・審査状況一覧表(様式2)に記載するものとする。
(2) 危険行為登録票等の点検及び送付
ア 審査責任者は、危険行為登録票を点検した上で、当該危険行為登録票を違反報告書の写しと共に交通企画課に送付するものとする。この場合において、(3)に規定する送付期限までに関係書類を作成し、送付することができないときは、交通企画課に連絡の上、可及的速やかに追送するものとする。
イ 審査責任者は、アの規定による送付をした場合は、審査結果及び交通企画課への送付日を自転車危険行為登録票作成・審査状況一覧表に記載するものとする。
ウ 署等の長(以下「署長等」という。)は、危険行為登録票を送付した事案について、登録内容の変更又は登録を不適当とする事情が生じた場合は、速やかにその旨を交通企画課長に連絡するものとする。
エ 署長等は、自転車危険行為登録票作成・審査状況一覧表の記載及び事件の送致記録により、危険行為登録票の作成及び送付の適正性について指導及び監督を行い、危険行為に係る報告があった事案について不適正な処理が行われることがないように配意するものとする。
(3) 危険行為登録票の送付期限
危険行為登録票の送付期限は、危険行為を検挙したときから2週間以内とする。ただし、交通事故に係る違反については、ひき逃げ等で危険行為を行った者が判明しない場合、被疑者の否認及び目撃者の不在により交通事故の事実認定に時間を要している場合等の特殊なものを除き、危険行為を認知したときから30日以内とする。
第3 危険行為登録等
1 登録審査
(1) 危険行為登録審査官は、署等から送付された危険行為登録票に係る危険行為が危険行為登録の対象であるか否か及び当該危険行為の事実認定が適正に行われ、かつ、事実の証明が十分であるかどうかについて審査するものとする。
(2) 危険行為登録審査官は、(1)の規定による審査(以下「登録審査」という。)の結果、危険行為登録票に誤りがなく、事実の証明が十分であると認められる場合は、危険行為登録を行うものとする。
(3) 危険行為登録審査官は、違反事実の不存在又は事実誤認があると認められるもの並びに交通事故に関して危険行為をした者の不注意の程度が極めて軽微であり、かつ、当該交通事故の際の具体的事情においてその者に結果の予見及び回避(以下「結果の予見等」という。)を期待することができない又は結果の予見等が困難であったと認められるもの(以下「事実不存在等事案」という。)については、個別に交通企画課長の確認を受け、危険行為登録は行わないものとする。
(4) 危険行為登録審査官は、危険行為登録の実施状況を自転車危険行為登録報告(様式3)により、交通企画課長に報告するものとする。
2 危険行為登録の変更及び削除
(1) 危険行為登録審査官は、危険行為登録を行った後に登録内容に変更が生じた場合は、当該登録内容を変更するものとする。
(2) 危険行為登録審査官は、危険行為登録を行った事案が事実不存在等事案であることが判明した場合は、当該危険行為登録を行った事案に係る登録を削除するものとする。
(3) (1)及び(2)の規定による変更又は削除に係る事務については、危険行為登録審査官において、当該変更又は削除を認めた理由を危険行為登録票に記載した上、個別に交通企画課長の確認を受けて行うものとする。
3 危険行為登録の迅速処理
(1) 登録審査は、危険行為登録票の送付をもって直ちに行い、危険行為登録に遅延を来すことがないようにしなければならない。
(2) 調査書類の記載内容に不備があり、補充調査を必要と認める事案がある場合は、明らかに事実不存在等事案である場合を除き、危険行為登録を行い、当該事案について受講命令がされるまでの間において所要の措置を講ずるものとする。
4 危険行為登録結果の確認
危険行為登録審査官は、警察庁から送付される危険行為登録に係るデータについて、登録内容に誤りがないか確認するものとする。
第4 受講命令に向けた手続
1 調査書類の送付
(1) 交通企画課長は、受講命令の理由となる危険行為が愛媛県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の管轄区域以外の区域でされたものである場合は、自転車関係書類送付依頼書(様式4)により、当該区域を管轄する都道府県警察に対し、当該危険行為に関する調査書類の送付を依頼するものとする。
(2) 交通企画課長は、他の都道府県警察から公安委員会の管轄区域でされた受講命令の理由となる危険行為に関する調査書類の送付の依頼を受けた場合は、自転車関係書類送付票(様式5)により、他の都道府県警察に対し、当該調査書類を送付するものとする。
2 受講命令に関わる行政手続
交通部長は、危険行為を反復してした者に対し、受講命令をする必要があると認められる場合は、当該危険行為に関する調査書類を確認した上で、行政手続法(平成5年法律第88号)第13条第2項に規定する場合を除き、聴聞及び弁明の機会の付与に関する規則(平成6年国家公安委員会規則第26号。以下「聴聞規則」という。)に定める弁明通知書を交付し、行政手続法第29条第1項に規定する弁明書の提出を受け、又は聴聞規則に定める弁明調書を作成しなければならない。
3 受講命令ができない場合
受講命令は、被命令者が更に自転車を運転することで道路における交通の危険を生じさせるおそれがないと認められる場合はすることができないため、例えば、交通事故によって下半身不随となり、自転車を以後運転できなくなったような者に対しては、受講命令をしてはならない。
第5 受講命令書の交付等
1 受講命令書交付の際の留意事項
(1) 受講命令書の交付は、あらかじめ口頭で受講命令の理由を告げてから、別に定める教示文を添付して行い、自転車運転者講習受講命令書受領書(様式6。以下「受領書」という。)を被命令者から徴するものとする。
(2) 受領書を徴することができなかった場合は、報告書を作成するなど、受講命令の執行状況を明らかにしておくものとする。
(3) (1)に規定する口頭による告知の際に、告知を受けた者から受講命令の理由について誤りがある旨の申立てがあった場合は、次により措置するものとする。
ア 申立てが過去の危険行為の不存在を理由とするものである場合
架空の事実について危険行為登録がなされていることはあり得ない旨を説明し、申立ての内容に真実性がある場合は、人的同一性の有無を再調査した後に受講命令書を交付する。
イ 申立てが過去の危険行為の発生年月日又は違反名の誤りに関するものである場合
告知を受けた者において危険行為の発生年月日、違反名等について具体的内容の陳述があり、かつ、その内容に信頼性が認められる場合に限り、受講命令書の交付を一時見合わせ、当該危険行為に係る調査書類によって事実を再確認した後、受講命令書を交付する。
ウ 申立てが過去の危険行為の刑事処分の不起訴又は無罪等を理由とするものである場合
申立ての内容に相当の理由があり、危険行為登録の内容に事実誤認のおそれがあると認められる場合に限り、受講命令書の交付を一時見合わせ、改めて事案の内容を審査する。
2 命令公安委員会と住所地公安委員会が異なる場合における命令した旨の通知及び命令執行依頼
(1) 命令公安委員会として行う住所地公安委員会への命令した旨の通知及び命令執行依頼は、次により行うものとする。
ア 命令した旨の通知は、自転車命令通知書(様式7。以下「通知書」という。)を住所地公安委員会に送付して行うものとする。
イ 公安委員会の管轄区域に被命令者の勤務地があり、被命令者が公安委員会の実施する講習の受講を希望している場合等を除き、住所地公安委員会に命令執行依頼をすることができるものとする。
ウ 通知書の送付に併せて命令執行依頼をする場合は、通知書に被命令者に交付する受講命令書、必要な調査書類の写し等を添付するものとする。
(2) 住所地公安委員会として命令公安委員会から命令執行依頼を受けた場合の措置は、次により行うものとする。
ア 1に規定する方法により、受講命令書を交付した場合は、自転車命令執行通知書(様式8)により、その旨を遅滞なく命令公安委員会に連絡するものとする。
イ 被命令者が住所地にいない場合は、自転車命令書返送書(様式9)により、受講命令書を命令公安委員会に返送するものとする。
3 受講命令書を交付できない場合の措置
被命令者の所在が不明である場合、被命令者が懲役又は禁錮の刑に処せられている場合等、受講命令書を交付することができないときは、命令公安委員会において受講命令書を保管して、所在が判明するなど受講命令書を交付することができるに至った場合に備えるものとする。
第6 受講命令登録
1 危険行為登録審査官は、公安委員会が受講命令を決定したものについて、受講命令書が交付された場合に受講命令登録を行うものとする。
2 受講命令登録は、受講命令書を交付した日に行うものとする。ただし、命令執行依頼をした場合は、命令執行通知書を受けた日に行うものとする。
第7 講習の実施等
1 講習の実施
(1) 講習は、原則として公安委員会が受講命令をした者に対して実施するものとする。
(2) 講習の実施に当たっては、講習を受講するために出頭してきた者が被命令者であるかどうかを運転免許証、保険証、学生証等により確認するものとする。
2 講習の実施場所
講習は、運転免許センター、署又は大洲署内子交番、西予署野村交番若しくは宇和島署鬼北交番その他の警察施設において実施するものとする。
3 講習手数料の徴収
講習手数料は、講習受講の際に愛媛県証紙条例施行規則(昭和39年県規則第42号)に定める納入票に証紙を貼付の上、提出させるものとする。
4 講習の内容
講習の内容は、別表に定める自転車運転者講習カリキュラムのとおりとする。
5 講習終了証書の交付
(1) 講習終了後に受講者から証明書の交付の申出があった場合は、自転車運転者講習終了証書(様式10)を交付するとともに、その副本を保管するものとする。
(2) 受講者が自転車運転者講習終了証書を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損した場合において、受講者から当該証書の再交付の申出があったときは、自転車運転者講習終了証書再交付申請書(様式11)を作成させ、理由を明らかにした上で、保管している副本の写しを交付するものとする。
6 受講済(命令違反検挙)登録
危険行為登録審査官は、被命令者に対して講習を行った場合及び受講命令に従わなかったことにより、当該命令違反を検挙した場合は、原則として講習を実施した日又は検挙した日に受講済(命令違反検挙)登録を行うものとする。
第8 危険行為登録等一覧表
危険行為登録審査官は、危険行為登録票等の受理の状況、危険行為登録の状況等について、自転車危険行為登録等一覧表(様式12)に記載するものとする。
第9 専決
この要領に規定する公安委員会の権限に属する事務のうち、次に掲げるものについては、交通企画課長が専決することができる。
(1) 第5の2(1)の規定による命令した旨の通知及び命令執行依頼に係る事務
(2) 第5の2(2)の規定による命令公安委員会への連絡及び受講命令書の返送に係る事務
(3) 第7の5(1)の規定による自転車運転者講習終了証書の交付に係る事務
(4) 第7の5(2)の規定による自転車運転者講習終了証書の再交付に係る事務
第10 補則
この要領に定めるもののほか、講習の実施に関し必要な事項は、交通部長が定める。
別表 自転車運転者講習カリキュラム
講習項目 | 講習内容 | 講習方法 | 講習時間 |
オリエンテーション | 事前説明 講習についての説明 | 5分 | |
テスト | 交通ルール等に関する理解度チェック 交通ルール認知に関する小テスト | 小テスト | 20分 |
体験談紹介 | 被害者及び被害者遺族等の声 危険行為が引き起こした交通事故の悲惨さの説明 | テキスト | 15分 |
事例紹介 疑似体験 | 受講者が犯しやすい違反行為の事例紹介と危険性の疑似体験 (1) 受講者が犯しやすい違反行為が要因の交通事故事例紹介 (2) 交通事故の危険性の疑似体験 | テキスト 視聴覚教材 事故事例シート | 20分 |
体験談紹介 | 事故時の自転車運転者の責任 自転車事故に伴う社会的責任と人生設計上の影響の説明 | テキスト | 15分 |
自転車ルール遵守の徹底 | 自転車の運転ルール等 交通ルール遵守の徹底 | テキスト | 20分 |
個人ワーク討議等 | 危険行為に関する学習 (1) 受講者が引き起こしやすい事故場面についての危険予測学習 (2) 学習シートに基づく討議・指導 | テキスト | 40分 |
再検査 | 交通ルール等に関する理解度の再チェック 交通ルールの理解度に関する再チェック及び指導 | 小テスト | 10分 |
総括 | 講習の総括 (1) 感想文の作成・発表 (2) 発表内容の講評 | 感想文 | 35分 |