○愛媛県警察保護取扱いに関する訓令

昭和35年7月28日

本部訓令第16号

愛媛県警察保護取扱いに関する訓令

第1章 総則

(この訓令の趣旨)

第1条 この訓令は、警察官職務執行法(昭和23年法律第136号。以下「警職法」という。)第3条第1項、警察法(昭和29年法律第162号)第2条第1項及び酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律(昭和36年法律第103号。以下「酩酊者規制法」という。)第3条第1項の規定に基づく保護(以下「保護」という。)並びに児童福祉法(昭和22年法律第164号)第33条第1項及び第2項の規定に基づく児童相談所長の委託による児童の一時保護等を適正に行なうため、保護等の手続、方法等について必要な基本的事項を定めるものとする。

(保護についての心構え)

第2条 警察官は、保護が警察に課せられた重要な責務であることを自覚し、その発見しまたは届出のあった者が保護を要するものであるかどうかを的確に判断するとともに、保護に当っては誠意をもってし、個人の基本的人権を侵害することのないよう細心の注意を払うものとする。

(保護の責任)

第3条 警察署長は、保護について全般の指揮監督に当たり、警察本部長(以下「本部長」という。)に対してその責に任ずるものとする。

2 警察署の生活安全事務を主管する課の長(以下「保護主任者」という。)は、警察署長を補佐し、所要の警察官を指揮して、保護室その他の施設への収容、家族知人その他の関係者(以下「家族等」という。)への引渡し、関係機関への引継等、保護の全般について、直接その責に任ずるものとする。

3 保護主任者が退庁後にあっては宿直責任者又は当番責任者、その他の場合で不在のときは、警察署長がその都度指定した者が保護主任者に代わって前項の職務を行うものとする。

第2章 保護

(保護の着手)

第4条 警察官は、保護を要する者を発見した場合または届出のあった者が保護を要する者であると認めた場合においては、とりあえず必要な措置を講ずるものとする。

2 前項の措置をとった場合において、その者の家族等への手配等の措置を必要と認めるときは、警察官は直ちに保護主任者に報告し、その指揮を受けるものとする。

(保護の場所についての指示等)

第5条 保護主任者は、前条第2項の報告を受けたときは、保護された者(以下「被保護者」という。)の年令、性別、疾病の状況、周囲の事情等を総合的に判断し、次の各号に掲げる被保護者の区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる場所を基準として、被保護者の保護のため最も適当と認められる場所を指示する等保護のため必要な措置を講ずるものとする。

(1) 精神錯乱者 もよりの精神科病院又は保護室

(2) 酩酊者 保護室

(3) 迷い子又は行方不明者 交番、警備派出所又は駐在所(最寄りに保護室がある場合又は家族等が迷い子若しくは行方不明者を引き取るのに長時間を要すると認められる場合にあっては、保護室)

(4) 病人または負傷者 もよりの病院、その他の医療施設(病状または負傷の程度から判断して、医療施設に収容する必要がないと認められる場合にあっては、保護室)

(5) 前各号に掲げる者以外の被保護者 保護室

2 警察官は、保護に着手した場所から前各号の保護の場所まで被保護者を同行する場合においては、人目に立たないようにする等被保護者の不利とならないように配意するものとする。

(保護者の住所等の確認措置)

第6条 被保護者の家族等に通知してその引取方について必要な手配をしようとするに当たり、被保護者がその住所または居所および氏名を申し立てることができないか、または申し立てても確認することができない場合であって他に方法がないと認められるときは、被保護者が拒まない限り、警察官が保護主任者の指揮を受けた上、第5条第1項の保護の場所において、立会人を置き、必要な限度で、被保護者の所持品等について、その住所、または居所および氏名を確認するための措置をとることを妨げないものとする。

(事故の防止)

第7条 警察官は、保護に当っては被保護者が負傷、自殺、火災その他自己または他人の生命、身体または財産に危害をおよぼす事故を起さないように注意するものとする。

第8条 警職法第3条第1項第1号または酩酊者規制法第3条第1項の被保護者が暴行し、自傷し、自殺しようとする等、自己または他人の生命、身体または財産に危害をおよぼす事態にある場合において、その危害を防止し適切にその者を保護するために他に方法がないと認められるときは、警察官が真にやむを得ないと認められる限度で、被保護者の行動を抑止するための手段をとることを妨げないものとする。この場合においては、緊急を要する状態にあっていとまがないと認められる場合を除き、保護主任者の指揮を受けるものとする。

第9条 警察官は、被保護者が凶器、毒物、劇物等自己または他人の生命、身体または財産に危害を及ぼすおそれのある物(以下「危険物」という。)を所持している場合において、第7条の事故を防止するためやむを得ないと認められるときは、そのやむを得ないと認められる限度で当該危険物を保管するものとする。この場合において警職法第3条第1項第2号に掲げる病人、負傷者等については、その承諾を得て行なうものとする。

2 前項の措置をとる場合においては、被保護者に所持させておいては、紛失し、又は破損するおそれがあると認められる現金その他の貴重品についても、同項の規定に準じて、つとめて保管するようにするものとする。

3 前2項の措置は、緊急を要する状態にあっていとまがないと認められる場合を除き、保護主任者の指揮を受けた上、第5条第1項の保護の場所において、立会人をおいて、行なうものとする。

4 第1項又は第2項の規定により保管した危険物又は貴重品は、その品名、数量及び保管者を当該被保護者に係る保護カード(別記様式第1号)に記載して、その取扱状況を明確にしておき、法令により所持することを禁止されているものを除き、被保護者を家族等に引取らせる場合又は保護を解く場合においてはその引取人又は本人に返還し、被保護者を関係機関に引継ぐ場合においては当該関係機関に引継ぐものとする。

第10条 警職法第3条第1項第1号又は酩酊者規制法第3条第1項の被保護者を保護室において保護する場合において、当該被保護者が暴行し、自傷し、自殺しようとする等自己又は他人の生命身体又は財産に危害を及ぼす事態にあり真にやむを得ないと認められるときは、警察官が保護主任者の指揮を受けた上、被保護者が保護室を離れないよう、かけがね等を使用することを妨げないものとする。

(異常を発見した場合の措置)

第11条 警察官は、被保護者について異常を発見した場合においては、応急の措置を講ずるとともに、直ちにその状況を保護主任者を経て警察署長に報告するものとする。

2 前項の場合において、警職法第3条第1項第1号又は酩酊者規制法第3条第1項の被保護者が保護の場所を離れ、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼすおそれがあると認められる場合であるときは、警察署長はこれを発見してなお保護を要する状態にないかどうかを確認する措置をとるものとする。警職法第3条第1項第2号の被保護者がほしいままに保護の場所を離れた場合であって、合理的に判断して、正常な判断能力を欠き、なお保護を要する状態にあると認められるときも、また同様とするものとする。

3 第1項の場合において、被保護者について死亡その他の重大な事故があった場合であるときは、警察署長はその状況を直ちに本部長に報告するとともに、被保護者の家族等の氏名及び住所又は居所が判明しているときは、その者にもあわせて通知するものとする。

(関係機関への事件の引継)

第12条 保護主任者は、引渡すべき被保護者の家族等がない場合、若しくは判明しない場合、又は判明しても引き取らない場合においては、警察署長の指揮を受けた上、次の各号の定めるところにより、措置するものとする。

(1) 被保護者が病人、負傷者等である場合には、生活保護法(昭和25年法律第144号)第19条第1項、第2項又は第6項の規定による保護の実施機関である知事若しくは市町村長、又はその委任を受けた者に引継ぐこと。

(2) 被保護者が児童福祉法にいう児童である場合には、前号に掲げる場合であっても同法第25条の規定により福祉事務所又は児童相談所に通告して引継ぐこと。但し、前号により引継ぐことが適切であると認められる場合はこの限りでない。

第3章 保護室

(保護室の設置)

第13条 警察署には、被保護者の数、状況等を勘案して、所要の保護室を設置するものとする。

2 保護室の構造設備等については別に定める。

3 保護室には、被保護者の応急手当に必要な医療品を常備しておくものとする。

4 被保護者を保護室に収容した場合においては、保護主任者は被保護者の数、状況等を総合的に判断し、所要の警察官を指定して保護に当らせるものとする。

(保護室に関する特例措置)

第14条 警察署長は、やむを得ない事情がある場合、又は保護のため適切であると認められる場合においては、警察署内の宿直室、休憩室等被保護者を収容するのに適当と認められる施設を保護室に代用するものとする。

2 警察署長は、前条第1項の規定により難い場合又やむを得ない事情がある場合は、他の警察署長に対し、保護室の使用について要請した上、当該保護室において保護を行わせるものとする。

第4章 許可状の請求等

(許可状の請求)

第15条 24時間をこえて引続き被保護者を保護する必要がある場合における、警職法第3条第3項但し書の規定による許可状の請求は、保護期間延長許可状請求書(別記様式第2号)により、保護主任者が警察署長の指揮を受けた上、行なうものとする。

(簡易裁判所への通知)

第16条 警察署長は、警職法第3条第5項又は酩酊者規制法第3条第4項の規定による簡易裁判所への通知は、毎週金曜日までに、その前週のものをとりまとめ保護取扱通知について(別記様式第3号)により行なうものとする。

(知事等への通報)

第17条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号。以下「精神保健法」という。)第23条の規定による知事への通報は、精神障害者等の発見に関する通報書(別記様式第4号)により、保健所長を経て警察署長が行うものとする。

2 酩酊者規制法第7条の規定による保健所長への通報は、アルコール慢性中毒者等の保護に関する通報書(別記様式第5号)により警察署長が行なうものとする。

第5章 雑則

(保護カード)

第18条 警察署に保護カードを備え、保護主任者は被保護者について取扱いの内容を明らかに記載しておくものとする。

(被保護者が非行少年であることが判明した場合等の措置)

第19条 警察官は被保護者が少年であって、少年警察活動規則(平成14年国家公安委員会規則第20号。以下「活動規則」という。)第2条第5号の非行少年又は同条第6号の不良行為少年であることが明らかになった場合においては、当該少年について、愛媛県少年警察活動に関する訓令(平成15年愛媛県警察本部訓令第10号)の定めるところにより、補導を行うものとする。

2 警察官は、被保護者が保護者に監護させることが不適当と認められる児童であることが明らかとなった場合においては、児童福祉法第25条の規定により福祉事務所または児童相談所に通告するものとする。

3 警察官は被保護者が売春防止法(昭和31年法律第118号)第34条第3項の要保護女子であることが明らかとなった場合においては、当該被保護者が少年であって第12条第2号又は前2項の規定により、関係機関に通告又は警察官が補導する措置をとった場合を除き、最寄りの婦人相談所又は婦人相談員に通知するものとする。この場合においては、婦人相談所の一時保護施設その他適当な施設への収容について配意するものとする。

(被保護者と犯罪の捜査等)

第20条 被保護者が罪を犯したものであること又は活動規則第2条第3号の触法少年若しくは同条第4号のぐ犯少年であることが判明するに至った場合においても、なお保護を要する状態にあると認められる間は証拠の保全上真に、やむを得ないと認められる場合を除き、被保護者について取調べ又は調査をしないものとする。被保護者が犯罪の被害者であることが明らかになった場合においてもまた同様とする。

第6章 一時保護等

(一時保護等)

第21条 警察官は、次の各号に掲げる場合において、夜間であるため、または同行し、もしくは引致すべき場所が遠隔である等の理由によりやむを得ない事情があるときは、それぞれ当該各号の児童その他同行しまたは引致すべきもの等を保護室に一時収容するものとする。

(1) 児童福祉法第33条第1項及び第2項の規定により、児童相談所長の委託を受けて児童の一時保護を行なう場合

(2) 少年法第13条第2項(同法第26条第5項において準用する場合を含む。)の規定により同行状を執行する場合

(3) 少年法第26条第1項の規定により、家庭裁判所の決定を執行する場合

(4) 少年院法(平成26年法律第58号)第89条第2項若しくは第90条第5項又は少年鑑別所法(平成26年法律第59号)第78条第2項若しくは第79条第5項の規定により、少年院又は少年鑑別所に収容すべき者を連れ戻す場合

(5) 更生保護法(平成19年法律第88号)第63条第6項の規定により警察官が引致状による引致を行なう場合

(6) 売春防止法第22条第3項(同法第27条第6項において準用する場合を含む。)の規定により、収容状を執行する場合

(7) 婦人補導院法(昭和33年法律第17号)第16条の規定により、婦人補導院から逃走した者を連れ戻す場合

(8) 精神保健法第39条第2項の規定により無断退去精神障害者を保護する場合

2 前項の場合においては、第3条第7条から第11条まで第13条第4項および第18条の規定を準用するものとする。

第7章 報告

(報告)

第22条 警察署長は、保護の取扱い状況の年中分をとりまとめ、保護取扱状況調(別記様式第6号)により翌年1月10日までに生活安全企画課長に報告するものとする。

第8章 補則

(警察署における細則)

第23条 警察署長は、この訓令の施行に必要な細則を定めることができる。

2 警察署長は、細則を定め、またはこれを変更しようとするときは、警察本部長の承認を受けなければならない。

1 この訓令は、昭和35年8月1日から実施する。

2 この訓令の制定により、昭和33年9月18日付訓令第9号愛媛県警察要保護者取扱規程は、廃止する。

(昭和36年9月1日本部訓令第16号)

この訓令は、昭和36年9月1日から施行する。

(昭和40年1月27日本部訓令第2号)

この訓令は、昭和40年1月27日から施行する。

(昭和42年1月31日本部訓令第1号)

この訓令は、昭和42年1月31日から施行する。

(昭和43年9月27日本部訓令第19号)

この訓令は、昭和43年10月1日から施行する。

(昭和56年3月25日本部訓令第6号)

この訓令は、昭和56年4月1日から施行する。〔以下略〕

(昭和60年12月27日本部訓令第15号)

この訓令は、昭和61年1月1日から施行する。

(平成元年3月22日本部訓令第5号)

この訓令は、平成元年3月22日から施行する。

(平成6年10月26日本部訓令第21号)

この訓令は、平成6年11月1日から施行する。

(平成7年6月1日本部訓令第16号)

この訓令は、平成7年7月1日から施行する。

(平成11年3月25日本部訓令第19号)

1 この訓令は、平成11年3月25日から施行する。

2 この訓令による改正前の訓令に規定する様式は、改正後の訓令に規定する様式にかかわらず、当分の間、これを訂正して使用することができる。

(平成14年2月12日本部訓令第4号)

この訓令は、平成14年4月1日から施行する。

(平成14年12月26日本部訓令第27号)

この訓令は、平成15年1月1日から施行する。

(平成16年5月27日本部訓令第18号)

この訓令は、平成16年5月27日から施行する。〔以下略〕

(平成17年4月1日本部訓令第11号)

この訓令は、平成17年4月1日から施行する。

(平成18年12月20日本部訓令第37号)

この訓令は、平成18年12月23日から施行する。

(平成19年7月26日本部訓令第22号)

この訓令は、平成19年7月26日から施行する。

(平成22年3月5日本部訓令第5号)

この訓令は、平成22年4月1日から施行する。

(平成23年9月27日本部訓令第15号)

この訓令は、平成23年10月1日から施行する。

(平成26年3月14日本部訓令第7号)

この訓令は、平成26年4月1日から施行する。

(平成26年11月18日本部訓令第37号)

この訓令は、平成26年11月18日から施行する。

(平成28年3月30日本部訓令第12号)

この訓令は、平成28年4月1日から施行する。

(平成29年3月31日本部訓令第8号)

この訓令は、平成29年4月1日から施行する。

(令和3年3月23日本部訓令第8号)

この訓令は、令和3年4月1日から施行する。

(令和5年3月10日本部訓令第7号)

この訓令は、令和5年3月13日から施行する。

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愛媛県警察保護取扱いに関する訓令

昭和35年7月28日 本部訓令第16号

(令和5年3月13日施行)

体系情報
第4編 生活安全/第1章 生活安全企画/第1節 生活安全企画
沿革情報
昭和35年7月28日 本部訓令第16号
昭和36年9月1日 本部訓令第16号
昭和40年1月27日 本部訓令第2号
昭和42年1月31日 本部訓令第1号
昭和43年9月27日 本部訓令第19号
昭和56年3月25日 本部訓令第6号
昭和60年12月27日 本部訓令第15号
平成元年3月22日 本部訓令第5号
平成6年10月26日 本部訓令第21号
平成7年6月1日 本部訓令第16号
平成11年3月25日 本部訓令第19号
平成14年2月12日 本部訓令第4号
平成14年12月26日 本部訓令第27号
平成16年5月27日 本部訓令第18号
平成17年4月1日 本部訓令第11号
平成18年12月20日 本部訓令第37号
平成19年7月26日 本部訓令第22号
平成22年3月5日 本部訓令第5号
平成23年9月27日 本部訓令第15号
平成26年3月14日 本部訓令第7号
平成26年11月18日 本部訓令第37号
平成28年3月30日 本部訓令第12号
平成29年3月31日 本部訓令第8号
令和3年3月23日 本部訓令第8号
令和5年3月10日 本部訓令第7号