○石油コンビナート等災害防止法に基づく警察措置について

昭和60年3月23日

例規備第9号本部長

各所属長

石油コンビナート等災害防止法(昭和50年法律第84号。以下「法」という。)に基づく警察措置については、石油コンビナート等災害防止法の施行に伴う災害警備対策の推進について(昭和52年2月7日付け例規備第1号)により新居浜署、今治署、伯方署及び松山西署(以下「所轄署」という。)において、管内の対象となる施設及び周辺地域の実態を把握して災害警備計画を樹立するなど、警備諸対策を進めてきたところであるが、特別防災区域が変更されたことに伴い、昭和60年4月1日から次により実施することとしたので災害警備対策推進上誤りのないようされたい。

なお、「石油コンビナート等災害防止法の施行に伴う災害警備対策の推進について」は、廃止する。

第1 特別防災区域及び特定事業所

愛媛県における一定量以上の石油及び高圧ガスが取り扱われている区域又は将来、取り扱われることとなる区域(以下「特別防災区域」という。)は、石油コンビナート等特別防災区域を指定する政令、別表に規定する主務大臣の定める区域を定める告示(昭和51年通商産業省、自治省告示第1号)別表の第60号から第63号までに掲げられており、法第2条第6号の特定事業所は、別表1のとおりである。

第2 第一種事業所の新設等に係る審査及び回答

1 警察本部警備課は、警察庁警備課から法第2条第4号の第一種事業所の新設、変更の計画に関する届出書の写しを受理したときは、直ちに次に掲げる事項について審査を行うとともに、新設計画にあっては、警察本部の関係課及び所轄署と実地調査を行い、必要により事業者の説明を求め、関係自治体の意見を聴いて回答しなければならない。

(1) 住民の避難路の確保

ア コンビナート地域全体と住宅地域の配置からみて大火災、大爆発、有毒ガスの大量流失等の大規模な事故が発生した際において、住宅地域の住民の安全な避難路が確保されるか。

イ コンビナート地域内の道路が大規模な事故の際において、事業所従業員等の避難路として適切か。

(2) 緊急車通行路の確保

事故が、コンビナート地域のどこで発生しても、消防、警察車両等の緊急車が安全かつ迅速に事故現場に到着できる緊急車両の通行路が確保されているか。

2 前記の審査は、次に掲げる事項に留意して行わなければならない。

(1) 石油コンビナート等特別防災区域における新設事業所等の施設地区の配置に関する省令(昭和51年自治省令第1号)第10条に規定する製造、貯蔵等の施設地区の配置基準又は同省令第12条に規定する通路の配置基準が遵守されていない場合は、真にその遵守が困難であり、かつ、保安上支障がないかどうかについて慎重に審査すること。

(2) コンビナート地域全体及びコンビナート周辺地域の住宅地化される可能性のある空地、田畑等の状況についても、十分考慮して審査すること。

第3 特別防災区域において災害等が発生した場合の所轄署長の措置

1 新居浜署長、今治署長及び松山西署長(以下「所轄署長」という。)は、特別防災区域において災害等が発生した場合は、直ちに次に掲げる措置を執らなければならない。

(1) 付近住民等の救出及び避難誘導

(2) 緊急車両通行路の確保等の交通規制

(3) 警戒区域の設定と警戒警備

(4) その他災害現場における初動措置

2 所轄署長は、消防署長若しくは市町長からの通報又は警察官からの報告によって特定事業所の火災、石油流出、ガス流出等の事故の発生を知ったときは、直ちに災害警備計画に基づく所要の措置を執らなければならない。

第4 警察官の代行指示

警察官は、法第25条第2項の規定に基づき、人命の救助、危険区域への立入りの制限又は禁止及び当該区域からの退去について、次に掲げる指示を行うことができるので、災害現場においては、必要に応じて所要の指示をしなければならない。

1 その場に居合わせた者に対して警告を発し、避難等の措置を執ること。

2 事業所の管理者等に対し危険防止の措置を執ることを命ずること。

第5 所轄署における災害警備対策

1 所轄署長は、平素から特定事業所における事故の発生に際して的確な初動措置を執りうる体制を確立し、災害の拡大防止に努めなければならない。

2 所轄署長は、特別防災区域における災害の発生に際して迅速かつ的確に対応できる警備体制を確立するとともに、次に掲げる資料を作成し、整備しておかなければならない。

なお、特別防災区域災害警備計画を作成した場合は、速やかにその写しを警察本部警備課に送付しなければならない。

(1) 危険物施設等の実態把握に関する資料

対象となる関係事業所について、その危険物施設の実態を把握し、突発災害警備実施要領(昭和48年3月23日付け例規外第12号)により、関係基礎資料を整備するとともに、これらの危険物施設に隣接する付近の居住地域の実態(世帯数・道路事情等)についても調査し、資料化しておくこと。

(2) 特別防災区域災害警備計画

ア 現地災害警備本部編成表

突発災害警備実施要領の別表4を参照して作成すること。

イ 災害警備部隊編成表

警備部隊の編成は、実施部隊(警戒区域の警戒警備、被災者の救出、避難誘導等)、交通部隊(緊急車通行路の確保、規制等)、広報班(現場広報)、各特科隊等を主体に最大規模動員体制とし、予備隊の編成についても考慮すること。

ウ 初動災害警備活動要領

別表2に定める初動災害警備活動要領(作成例)に基づき、対象事業所別又はブロツク別に区分して作成すること。

エ 災害速報系統表

災害発生時における警察本部及び関係機関に対する報告、連絡を迅速、かつ的確に行うため、突発災害警備実施要領の別表7に定める災害速報系統表(作成例)に基づき作成すること。

オ 災害警備通信系統表

別表3に定める災害警備通信系統表(作成例)に基づき作成すること。

カ 関係基礎資料

対象事業所及びこれらの危険物施設に隣接する付近の居住地域の実態調査により把握した事項を突発災害警備実施要領の別表1の4別表2、及び別表3に基づき作成すること。

3 所轄署長は、特別防災区域災害警備計画に変更が生じたときは、その都度、補正を行うとともに、その写しを警察本部警備課に送付しなければならない。

第6 関係防災機関との連携

関係防災機関(市町、消防等)及び関係事業所と緊密な連絡体制を確立し、災害未然防止対策の推進はもとより、災害発生時においては、これらの関係機関、事業所と一体的に早期諸対策を講じなければならない。

別表1

特別防災区域及び特定事業所

区域

事業所名

種別

所在地

業態

松山地区

コスモ松山石油株式会社

松山工場

第1種

松山市大可賀三丁目580番地

石油精製業

石油化学製品製造業

帝人株式会社

松山事業所北地区

松山市北吉田町77番地

化学繊維製造業

帝人株式会社

松山事業所南地区

松山市西垣生町2345番地

化学繊維製造業

有機化学工業製品製造業

日本石油株式会社

松山油槽所

松山市大可賀三丁目470番地

石油卸売業

ダイソー株式会社

松山工場

第2種

松山市北吉田町77番地

無製化学工業

(ソーダー工業)

新居浜地区

住友化学工業株式会社

愛媛工場新居浜地区

第1種

新居浜市惣開町5番1号

化学工業

住友化学工業株式会社

愛媛工場大江地区

新居浜市大江町1番1号

住友化学工業株式会社

愛媛工場菊本地区

新居浜市菊本町一丁目10番1号

住友共同電力株式会社

新居浜東火力発電所

新居浜市菊本町一丁目10番2号

電気事業

住友共同電力株式会社

新居浜西火力発電所

新居浜市磯浦町16番5号

住友エイビーエスラテックス株式会社

愛媛工場

第2種

新居浜市菊本町二丁目10番2号

化学工業

住友重機械工業株式会社

新居浜製造所

新居浜市惣開町5番2号

一般機械器具製造業

住友金属鉱山株式会社

別子事業所

新居浜市西原町三丁目5番5号

非鉄金属精錬精製業

株式会社住友クリーンセンター

新居浜市磯浦町乙366番地19

産業廃棄物処理業

菊間地区

太陽石油株式会社

菊間製油所四国事業所

第1種

今治市菊間町種4070番地2

石油精製業

石油化学製品製造業

日本地下石油備蓄株式会社

菊間事業所

今治市菊間町種4642番地1

倉庫業

波方地区

波方ターミナル株式会社

今治市波方町宮崎甲600番地

別表2

初動災害警備活動要領(作成例)

(1) 警備要図

画像

(2) 警備措置要領

地区名

住友化学工業株式会社愛媛工場大江地区(新居浜地区)

措置区分

措置要領

警戒警備

警戒区域及び警戒線の設定

警戒員配置及び警戒警備要領

◇警戒区域

港町、西町、中須賀町二丁目

◇警戒線

○昭和通り

○中須賀町二丁目と西原町二丁目の境界

○尻無川岸

○港町郵便局前(○○交番○人)

警戒区域住民の避難誘導

○工場前交差点(○○、○○交番○人)

同上・防災区域への部外者の進行禁止

○○○自治会館前(○○、○○交番・○○駐○人)

警戒区域内の警戒警ら避難誘導

交通規制

交通規制箇所・緊急車両通行路

交通班の配置及び交通規制(誘導)要領

◇交通規制箇所

1 大江橋南詰

2 百十四銀行前

3 伊予銀行前

4 元塚交差点

5 中須賀交差点

6 大江工場入口

◇緊急車両通行路

1 ○○交差点~○○交差点~工場前

2 大江橋~○○交差点~工場前

3 大江工場内 ○○通、○○通

1 大江橋南詰(○○交番○人、交PC1)

緊急車両の誘導、部外者の警戒区域進入規制及び一般車両の○○通りへのう回誘導

2 百十四銀行前(○○交番○人、地PC1)

緊急車両の誘導、避難車両の誘導及び一般車両の進入規制

避難誘導

避難を必要とする区域

港町、西町、中須賀二丁目

世帯

○○世帯

人口

○○○人

避難場所・避難場所への経路

避難措置要領

① 市営球場

港町~元塚交差点経由○○町へ

② ○○小学校

港町、西町~伊予銀行前交差点経由若水町一丁目へ

③ 文化センター

    〃 ~ 〃

④ 自治会館

西町、中須賀町一丁目~中須賀交差点経由泉宮町へ

◇元塚交差点に事前配備の避難誘導班2個班を港町に配置運用

(◇災害の態様に応じ、準備指示と避難指示の二段階に分けて行う。

◇居住地区単位にまとめて誘導する。

◇老幼病者を優先させ、一団として行動させるよう誘導する。)

現場広報

1 広報に際しては

被害状況・救護復旧状況の発表

避難場所・収容所等の周知

交通規制・警察活動状況の発表

流言飛言に対する措置

等を重点に行い、民心の安定を図る。

2 会社及び関係町内有線放送・広報車・パトカーの運用

通信連絡

災害警備通信計画に基き通信の確保に努める。

その他


別表3

災害警備通信系統表(作成例)

画像

石油コンビナート等災害防止法に基づく警察措置について

昭和60年3月23日 例規備第9号

(平成17年4月1日施行)

体系情報
第7編 備/第2章
沿革情報
昭和60年3月23日 例規備第9号
平成11年12月 例規公第57号
平成17年4月 例規警第11号