○少年警察協助員運営要綱の制定について

昭和38年2月26日

例規防(少)第178号警察本部長

各部課長

警察学校長

各警察署長

少年警察活動の効果的な推進を図るため、従来の少年補導員の運用を統一し、ここに少年警察協助員運営要綱を制定したから、次の点に留意してその運用に遺憾ないようされたい。

第1 要綱制定の趣旨

最近における少年非行は、質量ともに憂慮すべき状況にある。この状況の下にあつてひとり警察のみの活動では少年非行の特殊性からその期待も薄い。ここに関係機関、団体、有志者等地域住民に直結した民警一丸となった活動が望まれるところである。

少年警察協助員(以下「協助員」という。)は、この民間側の中核として少年警察に積極的な協力を得、もって少年非行の防止と健全な育成を図るため、少年警察協助員制度を確定し、その選任、業務内容、活動要領等の基本的な事項を定めるものである。

第2 一般的留意事項

1 この要綱に規定する協助員の活動は、あくまで任意の協力、援助であるから、この要綱により特別の支配、服従の関係が生じたと解釈してはならない。

2 協助員がこの要綱により活動するにあたり、捜査権を行使したり、刑事事件や民事事件に介入したというようなそしりを受けないよう指導と運用に留意すること。

3 協助員の設置については、広く地域住民に公表し、少年問題に関するよき理解者であり、かつ、よき相談相手であるとともに、少年の非行防止について地域の中心的存在であることを認識させ、警察への密告者であるというような疑惑をいだかせないよう留意すること。

第3 各条項の留意事項

1 業務内容(第2条関係)

(1) 協助員は少年警察活動に協力するものであつて、少年の健全育成に関するあらゆる業務が自由に行なわれるものと解してはならない、あくまでも少年警察の職務の範囲内にとどまるべきものであることに留意し、警察の協力依頼が要綱第2条の、非行少年等の早期発見、街頭補導、継続補導、少年相談、福祉犯罪の端緒の発見、通報、有害環境の浄化その他警察から依頼された少年警察に関する範囲を逸脱してはならない。

(2) 協助員の活動範囲は、原則として協助員の住居地を管轄する地域警察官の所管区内とするが、非行少年等の発見通報、あるいは警察署長の計画する街頭補導についてまで制限するものではない。

2 協助員の委嘱(第3条関係)

(1) 協助員の適格性

協助員の業務は前項で述べたように、補導の方法によつては各家庭にまでも影響を及ぼす場合もあると考えられるので、協助員の人となりもそれに適した人物でなければならない。また、協助員が警察の業務に関して協力を依頼されたということを誇大に意識して、あたかも特別の権力を与えられたかのごとく誤信し、少年あるいは関係者に接するおそれのある者は特に協助員としてふさわしくない者と考えるので、協助員候補者の選考にあたつては要綱第3条各号のほか、この点を特に留意し、いたずらに員数のみにとらわれて補導上マイナスの面を生じないようその質に重点をおき良識ある人物を選考するようにすること。

(2) 委嘱者

委嘱者については警察署長と定めたが、現在実施している防犯協会長と連名にすることを否定したものではない。協助員制度が要綱第1条に定めているように、少年警察に協力することがその本旨であり、またこの種活動経費が将来予算計上されることも予想されるところから警察署長名とすることが当然であるが、一方協助員が民間協力者であるということと協助員の活動費に防犯協会予算を使用しているという点において、従来実施している防犯協会長との両者連名方法をとることはさしつかえない。

3 協助員の任期(第4条関係)

協助員の任期は2年とした。これは要綱第3条の適格条件の関係もあつて、つねに適任者のみの協助員とする便法としたものであるから、各署では協助員の活動をつねには握しておき、管内における協助員活動が沈滞しないよう任期制度の有効な活用を行なうこと。ただし、任期満了による解嘱によつて警察の措置に対し無用の誤解を招かないよう特に留意すること。なお、すでに各署において任期を定め委嘱しているところにおいては、あらためて本要綱に同調するよう措置すること。

4 協助員の解嘱(第5条関係)

協助員がその身分を失う場合は、要綱第4条の任期満了による場合のほか、特に協助員から申出があつたとき、また転居して協助員としての業務ができなくなつた場合、および協助員の適格性を欠くにいたつた場合も身分を失なうことにしたのであるが、特に適格性を欠くにいたつた場合で、任期満了を待つて解嘱することが適当と認めるときは要綱第4条によることが望ましい。

なお、転居のため解嘱するにいたつたとき、転居先が県内であるときは転居先を管轄する警察署長に連絡するよう配慮すること。

5 協助員の講習(第6条関係)

協助員の中には学校教師、保護司、民生委員等の職にあつて、少年の補導に関する知識をもつ者も比較的多いのであるが、さらに警察の協力者としての必要な知識、技能を修得するよう教養することが必要である。

(1) 委嘱講習

委嘱にあたつての講習は従来県下統一したものはなかつたので、今後少年警察活動に協力する上に必要な知識、技能を植えつけるためおおむね次の基準に従つて実施すること。

ア 講習内容

講習内容について限定することは、いろんな面に支障をきたすことにもなるので、従来多く講義された内容を次のとおりあげたから、これを参考の上できるだけ広範囲にわたる講習が行なわれるよう配慮すること。また、講師についても、すでに指示連絡したとおりであるが、その他教育機関等の造けい者等適当な講師を選んで実施すること。

○ 少年処遇の基本的な問題

○ 児童、少年の心理

○ 不良化、犯罪の心理

○ 少年と家庭の問題

○ 少年指導者のあり方

○ 少年補導の要領

○ 面接の技術

○ 少年非行の現況

○ 少年と社会環境

○ 少年保護法制の概要

○ 秘密保持問題

○ 関係機関の概要

イ 講習時間

講習時間は、前記講習内容等を考慮しておおむね16時間程度が必要と思われる。ただし、この16時間はことさらに継続する必要はなく、飛石的に行なうなど各地域の実情を考慮して実施すること。

(2) 随時講習

委嘱後における協助員の活動がさらに適正に、かつ効果的に行なわれるよう随時講習を実施すること。

この講習の内容については、前記講習内容のほか適当なものがあればそれを取り入れることも望ましい。また方法についても講義式のみに終始せず、事例研究、討議方式あるいは視聴覚教養方式等あまり固苦しくない方法を取り入れることも考慮すること。

6 協助員証の交付等(第7条関係)

(1) 協助員を委嘱した場合における身分証明書の交付に関しては、従来各警察署で適宜実施していたが、今回様式に示すとおり協助員証と委嘱状とを一つのものとした。

この証明書は、将来警察本部において取りまとめ印刷配布の計画であるが、まだ各署に手持ちがあるときは、それを利用すること。

証明書の交付番号は、協助員名簿の委嘱番号と一致する番号とする。

交付または返納については、名簿備考欄に記載し明確にしておくこと。また協助員証のほかに協助員手帳(補導員)協助員バツチを交付することについては署長の任意の措置にゆだねることとする。

(2) 協助員証は、利用の手段によつてはある程度の利害関係をともなうものであるから、その取扱いを慎重にするため遺紛失、盗難にあつた場合は、その理由を口頭または文書を提出させ発見につとめることとし協助員でなくなつたときは、本人または家族から返納させることとした。

7 協助員名簿(第8条関係)

従来協助員名簿は、各署で定めた様式で整理されていたが、将来要綱第8条に定める書式に改めること。

なお、様式は、各署において作成のこと。

8 協助員の心得(第9条関係)

この規定は、従来から各署で指導していた事項を改めてうたつたものであるが、さらに機会あるごとに徹底させるようにすること。

なお、この規定に違背する場合は協助員にふさわしくないものとして当然解嘱の理由となるものである。

9 非行少年等の発見、通報(第10条関係)

(1) 通報の方法は、口頭、電話、文書等いずれでもよい。

(2) 通報の相手方は必ずしも少年係でなく、最寄りの所管区地域警察官でもよい。

(3) 通報を受けた警察官は、愛媛県少年警察活動に関する訓令に定める事項に従つて処理すること。

10 街頭補導(第11条関係)

(1) 非行少年等の早期発見方法として街頭補導は効果的なものであるが、その方法は、次の2に区別することができる。

ア 警察の計画に基づく街頭補導

街頭補導の勤務割を警察で策定し、警察官との共同で行なうもの

イ 協助員独自で行なう街頭補導

警察の計画に基づく場合以外に協助員の自発的な意思で行なうもの

このいずれの場合であつても、早期発見効果をねらうという意味からは適当な方法といえるのであるが、この方法が特に危険をともなう点において、次の「災害給付の問題」を慎重に考慮して協助員の指導にあたること。

「災害給付の問題」

協助員が警察官に同行して街頭補導をしているときに災害を受けた場合は「警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律(昭27年法律第245号)」第2条第1項にいう「職務執行中の警察官がその職務執行上の必要により援助を求めた場合」に該当し、災害給付が行なわれる。

また、協助員であることと当該災害との間に密接な因果関係のある場合には「その他これに協力援助することが相当と認められる場合」に該当して同様の給付がなされる。もちろんその協力援助行為が国民の道義的見地からも当然期待されるにすぎないものであつた場合は、たまたまそのため災害を受けた者が協助員であつても消極的に解されることになつているのである。

したがつて、協助員の行なう街頭補導には、必ず警察官が共同で行なうよう配意すること。しかし、全く協助員独自の自発的意思から実施しようとする場合があるときは、この問題を十分理解させ、対象少年の選別、時間的場所的関係を考慮し事故防止の万全を期するよう十分な指導を行なうこと。

(2) 協助員が街頭補導によつて発見した非行少年等は全面的に協助員の措置にゆだねることなく、できるだけ警察官に連絡させること、また「注意、助言にとどめた場合」とは、きわめて軽度の対象少年を指すものであるから、連絡しなかつた方便に使用しないよう指導すること。

11 継続補導(第12条関係)

(1) 継続補導については、原則として警察署長から委託された者について行なうものであるが、保護者または関係機関から協助員に対し直接依頼された場合も認めることとした。この場合は、協助員から依頼者および依頼の理由を署長に連絡させるよう指導すること。

(2) 補導状況については、月1回必ず所管区地域警察官または少年係に口頭で連絡させるようにし、対象少年のその後の経過を警察において、は握するよう少年補導簿または少年カードの利用を工夫すること。

12 少年相談(第13条関係)

協助員が少年相談を行なつた場合の通報は、口頭でよいが、連絡を受けた警察官はその内容をよく検討し、警察として取りあげるべきかどうかを判断し、取りあげる必要のある事案については要綱第10条の規定を準用して措置すること。

第2項の「前号以外」とはなんらかの補導措置を必要とするものを指しているのであるから、この場合は直ちに警察の措置にゆだねるべく連絡するよう指導すること。

13 福祉犯罪の通報(第14条関係)

ここでいう福祉を害する行為とは、少年の福祉を害する行為で刑罰法令に触れるものをいうが、おもなものを列挙すると次のとおりである。

(1) 刑法(強制わいせつ、遺棄、監禁、略取、誘かい等)

(2) 児童福祉法(第34条)

(3) 職業安定法(第32、36、37、44、63、67条)

(4) 売春防止法

(5) 労働基準法

(6) 未成年者飲酒(喫煙)禁止法

(7) 学校教育法

14 有害環境の浄化(第15条関係)

少年に悪影響を及ぼす事案が各地域において相当潜在、あるいは公然化していると考えられる。これらの事案に対する監視役として協助員に期待するところが大きいので、該事案を発見または聞知したときは積極的に通報し、また協助員自からも浄化活動の一員となるよう指導すること。

15 連絡会議

(1) 連絡会議のうち、全体会議はすくなくとも年1回実施し、非行少年の傾向、事例研究、協助員の体験や意見発表等を取りあげて活動の推進と技術の向上につとめること。また管内の実情に応じて年数回、方面会等の開催を考慮すること。

この連絡会議は要綱第6条(協助員の講習)と兼ねて行なうこともよい。

(2) 会議または講習会の開催にあたつては、協助員にできるだけ経済的または時間的負担をかけないよう留意すること。

少年警察協助員運営要綱

(目的)

第1条 この要綱は、地域社会における少年補導の活動を促進し、少年警察活動の効果的な運用を図るため、少年警察に協力する民間有志者による少年警察協助員(以下「協助員」という。)の設置および運営について必要な事項を定めるものとする。

(業務内容)

第2条 協助員は、少年の非行を防止し、その健全な育成を図るため、次の各号に掲げる活動を行い、少年警察活動に援助協力するものとする。

(1) 非行少年等の早期発見

(2) 街頭補導

(3) 継続補導

(4) 少年相談

(5) 福祉犯罪の発見、通報

(6) 有害環境の浄化

(7) 前項のほか、警察から依頼された少年警察に関すること。

(協助員の委嘱)

第3条 協助員は、その地域を管轄する警察署長が、おおむね次の各号に掲げる適格性を考慮の上選考し、本人の承諾を得て第6条の講習を受けた者のうちから委嘱するものとする。

(1) 少年の健全育成に熱意を有すること。

(2) 少年警察活動の協力者としての能力を有すること。

(3) 少年警察活動に協力するための時間的余裕を有すること。

(4) 地域の実情に精通していること。

(5) 地域住民の信頼があり、その協力を得られること。

(6) その他警察署長がとくに適任と認めるもの。

(協助員の任期)

第4条 協助員の任期は2年とする。ただし、再任を妨げない。

(協助員の解嘱)

第5条 警察署長は、協助員から解嘱の申出があつたとき、もしくは他の警察署管内に転居したとき、または協助員としての適格性を欠くにいたつた場合は、これを解嘱するものとする。

(協助員の講習)

第6条 警察署長は、協助員に対し少年補導に必要な知識の向上を図るため、一定基準による講習を行なうものとする。

(協助員証の交付等)

第7条 警察署長は、第3条の規定により協助員を委嘱したときは、少年警察協助員証(様式第1号。以下「協助員証」という。)を交付するものとする。

2 協助員は、この要綱の定める活動を行なうときは、常に協助員証を携帯し、関係者から要求があつたときは、これを提示して身分を明らかにするものとする。

3 協助員が前項の規定により、交付された協助員証を遺紛失または盗みとられたときは、その理由を付してすみやかに警察署長に申し出て再交付を受けるものとする。

4 協助員証は、協助員が解嘱されたとき、もしくは死亡したときは、本人またはその家族から警察署長に返納するものとする。

(協助員名簿)

第8条 警察署長は、第3条の規定により協助員を委嘱したときは、少年警察協助員名簿(様式第2号。以下「協助員名簿」という。)を作成し、所定事項を記録するものとする。なお、協助員名簿は、異動の都度整理するものとする。

(協助員の心得)

第9条 協助員は、第2条に定める業務を行なうにあたつては、次の各号に掲げる事項に留意するものとする。

(1) 関係人の人権を尊重し、少年の特性に関する理解を深め、愛の精神に徹して少年の健全育成につとめること。

(2) 少年、保護者その他関係者の尊敬と信頼が得られるよう人格、識見の向上に努めること。

(3) 警察官と常に緊密な連絡を保つとともに、学校の教員、児童委員、保護司その他関係者と連絡協調を図ること。

(4) 少年警察に協力することによつて知つた秘密の保持に留意し、少年、保護者その他関係者が、秘密の漏れることに不安をいだくことがないように配意すること。

(非行少年等の発見、通報)

第10条 協助員は、非行少年等を発見し、又はこれに関連する情報を聞知したときは、速やかにその状況を、その地域を担当する地域警察官又は少年警察官(以下「地域警察官等」という。)に連絡するものとする。

2 前項の規定により連絡を受けた地域警察官等は、愛媛県少年警察活動に関する訓令(平成15年愛媛県警察本部訓令第10号)に従つて処理するものとする。

(街頭補導)

第11条 協助員は、繁華街、盛り場その他街頭における少年の行動を観察し、非行を犯しまたは犯すおそれのある少年の早期発見につとめるとともに、これら少年に適切な補導を行なうものとする。

2 前項の街頭補導により発見した非行少年等は、第10条の規定を準用する。ただし、注意、助言にとどめた場合はこの限りでない。

(継続補導)

第12条 協助員は、警察署長から委託された非行少年等および保護者または他の関係機関から依頼された少年について継続補導するものとする。

2 継続補導の状況については、月1回地域警察官等に通報するものとする。

3 前項の通報を受けた地域警察官等は、継続補導の経過を明らかにしておくものとする。

(少年相談)

第13条 協助員は、少年、保護者その他関係者から少年の非行防止または少年の福祉に関する相談を受けたときは、懇切に受理したうえ、次の各号により処理するものとする。

(1) 軽易な事案で自己において処理できるものについては、適切な注意、助言等を与えるとともにその状況を地域警察官等に連絡するものとする。

(2) 前号以外の事案については、第10条の規定を準用するものとする。

(福祉犯罪の通報)

第14条 協助員は、少年をぎやく待し、酷使し、または少年をそそのかして犯罪を行なわせる等、少年の福祉を害する行為をしていると認められるものを発見し、またはこれに関する情報を聞知したときは、すみやかに地域警察官等にその状況を通報するものとする。

2 前項の通報を受けた地域警察官等は、第10条第2項の規定を準用するものとする。

(有害環境の浄化)

第15条 協助員は、少年に有害な影響を与えている者を知つた場合または著しく少年の性的感情を刺激し、もしくは残ぎやく性を助長するおそれのある興行、文書、図画、広告物、がん具および危険物等を発見し、またはこれに関する情報を聞知したときは、すみやかに地域警察官等にその状況を通報するものとする。

2 協助員は、前項の通報を行なうほか、自から地域における有害環境浄化活動に積極的な協力を行なうものとする。

(連絡会議)

第16条 警察署長は、少年警察活動の効果的な運用を図るため、年数回管内の協助員連絡会議を開催するものとする。

附 則

この要綱は、昭和38年4月1日から施行する。

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少年警察協助員運営要綱の制定について

昭和38年2月26日 例規防(少)第178号

(平成23年10月1日施行)

体系情報
第4編 生活安全/第4章
沿革情報
昭和38年2月26日 例規防(少)第178号
平成元年3月 例規情管第14号
平成4年9月 例規警第30号
平成13年2月 例規少第5号
平成16年5月 例規少第25号
平成17年12月 例規少第43号
平成23年10月 例規少第249号