○質物の保管設備基準の制定について
平成6年12月26日
例規生企第46号本部長
各所属長
みだし基準が公安委員会告示により下記のとおり制定され、平成7年1月4日から施行されることとなったので、運用上誤りのないようにされたい。
記
第1 制定の理由
新しい建築様式や貴金属、時計等の小物だけを取り扱う営業の増加等の質屋営業の形態が変化しているため、質屋営業法(昭和25年法律第158号)第7条第1項の規定により、質物の保管設備基準を制定する。
第2 解釈及び運用上の留意事項
1 適用
(1) この基準の4の(2)及び5の(2)以外の部分については平成7年1月4日現在設置している質物の保管設備(以下「保管設備」という。)及び同日以後新設する保管設備について適用し、4の(2)及び5の(2)の部分については同日以後新設する保管設備(質屋営業の許可を申請している者に係る保管設備を除く。)について適用する。
なお、現に質屋営業の許可を受けている者が設置している保管設備及び質屋営業の許可を申請している者に係る保管設備については、従前の基準によることができる。
(2) 保管設備の主要構造部又は開口部の変更に当たっては、この基準に適合する設備に整備するよう指導するものとする。
2 規模及び構造
(1) 「構造」とは、当該保管設備の基本的形態のことをいい、適正でない構造としては、例えば、容易に持ち運びできるような防犯上の問題があるものをいう。したがって、貴金属等小型の質物のみを取り扱う質屋については、耐火金庫等の小型の設備を保管設備とすることも可能となる。
(2) 小型保管設備の場合は、容易に持ち運びができない重量のもの又は建物の床面等に固定された形態のものであることが必要である。
(3) 小型の質物のみを取り扱うこととして小型の保管設備を設け、当該保管設備に保管できない質物を扱っていた場合は、質屋営業法第7条第3項の違反に該当し、同法第25条第1項第4号の規定により行政処分の対象になる。
3 営業所との距離の制限
保管設備は、盗難予防等の管理面から営業所と同一の敷地内に設置すべきであるが、敷地の形態により敷地内に設置できない場合は、営業上支障がないと認められる近接した他の敷地内に設置することができる。
4 防湿構造
(1) 「防湿上の措置」には、保管設備の内部の壁及び床を板張り構造とするほか、除湿機を設置することも含まれる。
(2) 防湿上の措置を講じていれば、保管設備を地下に設けることができる。
5 防火設備
主要構造部(壁、柱、床、はり及び屋根)の耐火性能の基準は、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第7号の耐火構造とする。ただし、従来の「土蔵造り」の形態によるもの及びこれらと同等の耐火性能を有するものは、耐火性能を有しているものと認める。
6 盗難予防設備
(1) 開口部
ア 「侵入防止のための有効な設備」とは、人の侵入を物理的に阻止できる物的設備をいう。警報装置は、「侵入防止のための有効な設備」には該当しない。
イ 開口部は、シャッター、鉄製扉等の侵入防止のための有効な設備があれば、必ずしも鉄格子による必要はない。
(2) 警報装置
ア 人の侵入を防止する設備が十分であっても管理方法に問題があれば、盗難被害に遭うことが予想される。このため、営業所その他適当な箇所に警報装置が設置されている場合を除き、保管設備の適当な箇所に、非常ベルその他の非常警報装置の設置を義務付けている。
イ ここにいう「非常警報装置」とは、機械警備に相当するような高度なものに限る必要はなく、非常時に警報を発することができるものをいう。
7 仮保管設備の特例措置
質屋営業を営む者が営業所の補修、建替え等のため、保管設備の使用を一時的に中止する場合、他に基準を満たす保管設備を設けることができないために、休業しなければならない事態が生じていたことから、補修、建替え等の期間中は、仮の保管設備を使用できるよう、営業所との距離の制限、ねずみの侵入防止設備等についての特例を認めている。
第3 保管設備基準
別添のとおり。
別添
○愛媛県公安委員会告示第65号
質屋営業法(昭和25年法律第158号)第7条第1項の規定に基づき、質物の保管設備基準を次のとおり定め、平成7年1月4日から施行する。ただし、4の(2)及び5の(2)については、現に質屋営業の許可を受けている者が設けている質物の保管設備及び許可を申請している者に係る質物の保管設備については、なお従前の例によることができる。
平成6年12月26日
愛媛県公安委員会委員長 宮武隆
1 規模及び構造
質物の保管設備(以下「保管設備」という。)の大きさ及び構造は、その営業の内容に応じて適正なものでなければならない。
2 営業所との距離の制限
保管設備は、営業所と同一の敷地内に設けなければならない。ただし、やむを得ない事情がある場合は、近接する他の敷地内に設けることができる。
3 防湿構造
保管設備の内部は、壁及び床を板張り構造とするなどの防湿上の措置を講じなければならない。
4 防火設備
(1) 保管設備の主要構造部は、次のいずれかに該当する構造でなければならない。
ア 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第7号に定める耐火構造
イ 土蔵造り
ウ ア及びイに掲げるものを除くほか、愛媛県公安委員会がこれらと同等以上の耐火性能を有すると認めたもの
(2) 保管設備の開口部には、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第109条第1項に定める甲種防火戸又は乙種防火戸を設けなければならない。
5 盗難予防設備
(1) 保管設備の開口部には、シャッター、鉄製扉等侵入防止のために有効な設備及び堅ろうな施錠設備を設けなければならない。
(2) 保管設備の適当な箇所に、防犯上必要な非常ベルその他の非常警報装置を設けなければならない。ただし、営業所その他の営業施設に同様の装置がある場合は、この限りでない。
6 ねずみの侵入防止設備
保管設備の出入口以外の開口部には、金網等ねずみの侵入を防止するための設備を設けなければならない。
7 特例措置
(1) 現に質屋営業の許可を受けて質屋営業を行っている者が、保管設備の補修、建替え等のため、当分の間、別に保管設備を設けようとする場合における当該保管設備(以下「仮保管設備」という。)については、2及び6を適用しない。
(2) 仮保管設備の出入口以外の開口部については、当該仮保管設備に付随して火災警報装置を設置しているなど防火上の措置が講じられている場合は、4の(2)を適用しない。
(3) 仮保管設備の出入口以外の開口部については、施錠設備を設け、シャッター、鉄製扉等侵入防止のために有効な設備及び堅ろうな施錠設備を省略することができる。
(4) この特例措置を適用できる期間は、仮保管設備の使用を開始した日から起算して2年とする。