○愛媛県犯罪の起きにくい安全で安心なまちづくり条例
平成25年3月26日
条例第25号
愛媛県犯罪の起きにくい安全で安心なまちづくり条例を次のように公布する。
愛媛県犯罪の起きにくい安全で安心なまちづくり条例
目次
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 犯罪の防止のための自主的な活動の促進(第10条―第13条)
第3章 学校等における子どもの安全確保等(第14条―第16条)
第4章 犯罪の防止に配慮した環境の整備等(第17条―第20条)
第5章 犯罪の防止に配慮した事業活動の推進等(第21条―第23条)
第6章 犯罪の防止に配慮した自転車の利用の促進(第24条)
第7章 犯罪被害者等に対する支援(第25条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、犯罪の起きにくい安全で安心なまちづくり(以下「安全安心なまちづくり」という。)に関し、基本理念を定め、並びに県の責務並びに県民及び事業者の役割を明らかにするとともに、犯罪を未然に防止する環境を整備するための施策の基本となる事項等を定めることにより、安全安心なまちづくりを総合的かつ計画的に推進し、もって県民が安全に安心して暮らすことができる社会の実現に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 安全安心なまちづくりは、「自らの安全は自ら守る、地域の安全は地域で守る」という意識の下に、犯罪の防止のための県民、事業者及び地域活動団体(自治会その他の地域における共同活動を行う団体をいう。以下同じ。)(以下「県民等」と総称する。)による自主的な活動を基本として行われなければならない。
2 安全安心なまちづくりは、県、市町及び県民等が、相互に連携し、及び協力して推進されなければならない。
(県の責務)
第3条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、安全安心なまちづくりに関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 県は、前項の施策の実施に当たっては、国及び市町との連絡調整を緊密に行うものとする。
(県民の役割)
第4条 県民は、基本理念にのっとり、安全安心なまちづくりについて理解を深め、日常生活における自らの安全の確保に積極的に努めるとともに、安全安心なまちづくりを推進するよう努めるものとする。
2 県民は、県が実施する安全安心なまちづくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、安全安心なまちづくりについて理解を深め、当該事業者が所有し、又は管理する事業施設及びその事業活動に関し、自ら安全の確保に努めるとともに、安全安心なまちづくりを推進するよう努めるものとする。
2 事業者は、県が実施する安全安心なまちづくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。
(地域活動団体の取組)
第6条 地域活動団体は、基本理念にのっとり、地域の実情に応じて、その地域において犯罪の防止に関連する活動を行う団体と連携して、安全安心なまちづくりに取り組むよう努めるものとする。
(市町への支援及び協力)
第7条 県は、市町が実施する安全安心なまちづくりに関する施策について、必要な支援及び協力を行うものとする。
(推進体制の整備)
第8条 県は、市町、県民等及び関係機関と連携し、及び協力して、安全安心なまちづくりに関する施策を総合的かつ効果的に実施するために必要な推進体制を整備するものとする。
(推進計画)
第9条 県は、安全安心なまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するための計画(以下「推進計画」という。)を策定するものとする。
2 推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 総合的かつ長期的に講ずべき安全安心なまちづくりに関する施策の大綱
(2) 前号に掲げるもののほか、安全安心なまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 県は、推進計画を策定するに当たっては、あらかじめ、県民等の意見を聴くものとする。
4 県は、推進計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。
5 前2項の規定は、推進計画の変更について準用する。
第2章 犯罪の防止のための自主的な活動の促進
(広報及び啓発)
第10条 県は、安全安心なまちづくりに関し、必要な広報活動及び啓発活動を行うものとする。
2 県は、県民等の安全安心なまちづくりへの関心及び理解を深めるため、防犯の日及び安全安心なまちづくり旬間を設ける。
3 防犯の日は毎月5日(その日が休日(愛媛県の休日を定める条例(平成元年愛媛県条例第3号)に規定する県の休日をいう。以下同じ。)に当たるときは、当該休日の直後の休日でない日)とし、安全安心なまちづくり旬間は10月11日から同月20日までとする。
(県民等の自主的な活動の促進)
第11条 県は、県民等が行う安全安心なまちづくりに関する自主的な活動を促進するため、県民等に対し、必要な情報の提供、助言等をするものとする。
(自主防犯団体支援センターの指定等)
第12条 知事は、公安委員会と協議の上、営利を目的としない法人であって、次項に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、県に一を限って、自主防犯団体支援センター(以下「支援センター」という。)として指定することができる。
2 支援センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
(1) 安全安心なまちづくりに関する自主的な活動を行う者又は団体に対し、情報の提供、相談その他の援助を行うこと。
(2) 前号に掲げるもののほか、安全安心なまちづくりの推進のために必要な業務を行うこと。
3 県は、支援センターに対し、その業務の実施に関し必要な情報の提供、助言等をするものとする。
(高齢者等の安全確保)
第13条 県は、高齢者、子ども、女性、障害者その他特に防犯上の配慮を要する者(以下「高齢者等」という。)が犯罪による被害を受けないようにするため、市町及び県民等が連携し、地域ぐるみで高齢者等の安全が確保されるように、市町及び県民等に対し、必要な情報の提供、助言等をするものとする。
第3章 学校等における子どもの安全確保等
(学校等における子どもの安全確保)
第14条 幼稚園、小学校、中学校、高等学校等の学校及び保育所等の児童福祉施設等(以下「学校等」という。)を設置し、又は管理する者は、当該学校等において、乳幼児、児童及び生徒(以下「子ども」という。)が犯罪による被害を受けないようにするための安全の確保(以下「安全確保」という。)に努めるものとする。
2 学校等を設置し、又は管理する者は、地域の実情に応じて、子どもの保護者、地域において犯罪の防止のための自主的な活動を行う県民等及び当該学校等の所在地を管轄する警察署その他の関係機関の職員と連携を図り、当該学校等における子どもの安全確保のための対策を実施するための体制を整備するよう努めるものとする。
3 県は、学校等を設置し、又は管理する者に対し、当該学校等における子どもの安全確保のための対策の実施について、必要な情報の提供、助言等をするものとする。
4 知事、教育委員会及び公安委員会は、共同して、学校等における子どもの安全確保のための指針を定めるものとする。
5 知事、教育委員会及び公安委員会は、前項の指針を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、県民等の意見を聴くものとする。
6 知事、教育委員会及び公安委員会は、第4項の指針を定め、又は変更したときは、これを公表するものとする。
(通学路等における子どもの安全確保)
第15条 通学、通園等の用に供される道路及び子どもが日常的に利用する公園、広場等(以下「通学路等」という。)を管理する者、子どもの保護者、学校等を管理する者、学校等の所在する地域の住民及び通学路等の所在する地域を管轄する警察署長は、連携して、当該通学路等における子どもの安全確保に努めるものとする。
2 知事、教育委員会及び公安委員会は、共同して、通学路等における子どもの安全確保のための指針を定めるものとする。
(子どもの安全確保等に係る教育の充実)
第16条 県は、学校等、家庭及び地域と連携して、子どもが犯罪による被害を受けないようにするための教育及び犯罪を起こさないようにするための教育の充実が図られるよう努めるものとする。
第4章 犯罪の防止に配慮した環境の整備等
(犯罪の防止に配慮した道路等の整備)
第17条 道路、公園、駐車場等(以下「道路等」という。)を設置し、若しくは設置しようとし、又は管理し、若しくは管理しようとする者は、当該道路等を犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有するものとするよう努めるものとする。
2 県は、犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有する道路等の普及に努めるものとする。
3 知事及び公安委員会は、共同して、犯罪の防止に配慮した道路等の構造、設備等に関する指針を定めるものとする。
4 知事及び公安委員会は、前項の指針を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、県民等の意見を聴くものとする。
5 知事及び公安委員会は、第3項の指針を定め、又は変更したときは、これを公表するものとする。
(犯罪の防止に配慮した住宅の整備)
第18条 住宅の建築主及び住宅を設計し、建築し、又は供給しようとする事業者(以下「建築主等」という。)並びに住宅を所有し、又は管理する者は、当該住宅を犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有するものとするよう努めるものとする。
2 県は、建築主等及び住宅を所有し、又は管理する者に対し、犯罪の防止に配慮した住宅の構造、設備等について、必要な情報の提供、助言等をするものとする。
3 知事及び公安委員会は、共同して、犯罪の防止に配慮した住宅の構造、設備等に関する指針を定めるものとする。
(犯罪の防止等に配慮した情報通信技術の利用)
第19条 県は、携帯電話端末等を利用する犯罪その他の情報通信の技術を利用する犯罪による被害を防止し、及び青少年が安全に安心して情報通信の技術を利用することができるようにするため、県民等及び関係機関に対し、必要な情報の提供、助言等をするものとする。
(防犯カメラの設置及び利用に係る人権への配慮)
第20条 道路、公園その他の不特定多数の者が出入りする公共の場所に防犯カメラ(犯罪の防止を目的として設置される映像機器及びこれに附属する機器をいう。以下同じ。)を設置し、及び利用する者は、次項の指針に基づき、人権を侵害することのないように配慮するものとする。
2 知事及び公安委員会は、共同して、防犯カメラの適正な設置及び利用に関する指針を定めるものとする。
第5章 犯罪の防止に配慮した事業活動の推進等
(犯罪の防止に配慮した事業施設の整備等)
第21条 事業者は、犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有する事業施設の整備に努めるものとする。
2 警察署長は、その管轄区域において事業施設を設置し、又は管理する者に対し、犯罪の防止に配慮した事業施設の構造、設備等について、必要な情報の提供、助言等をするものとする。
(防犯責任者の設置等)
第22条 事業者は、その所有し、又は管理する事業施設及び事業活動における防犯上の安全の確保のため、事業所ごとの実情に応じて、従業員に対する防犯に関する指導、防犯設備の維持管理等を行う責任者を設置するなど、犯罪の防止のための措置を講ずるよう努めるものとする。
(更生保護活動への支援)
第23条 事業者は、犯罪をした者及び非行のある少年が、再び犯罪をすることを防ぎ、又はその非行をなくし、健全な社会生活を営むことができるよう、更生保護についての理解を深めるとともに、更生保護に関する活動の促進に努めるものとする。
2 県は、事業者に対し、更生保護に関する活動の促進に必要な情報の提供、助言等をするものとする。
第6章 犯罪の防止に配慮した自転車の利用の促進
第24条 自転車を利用する者は、その利用する自転車について、盗難その他の犯罪による被害を防止するための措置を講ずるよう努めるものとする。
2 自転車の小売、修理又は貸渡しを行う事業者は、盗難その他の犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有する自転車及び用具の普及に努めるものとする。
3 県は、自転車に係る盗難その他の犯罪による被害を防止するため、県民等に対し、必要な情報の提供、助言等をするものとする。
第7章 犯罪被害者等に対する支援
第25条 県は、犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為により被害を受けた者及びその家族又は遺族(以下「犯罪被害者等」という。)の権利利益の保護を図るため、犯罪被害者等の援助を行う民間の団体の活動を促進するための支援その他の犯罪被害者等の支援に関する施策を講ずるものとする。
2 県は、前項の施策の実施に当たっては、必要に応じて、国、市町その他の関係機関及び関係団体と連携して行うものとする。
附則
この条例は、平成25年4月1日から施行する。